[2013年4月改組]
2013年4月、統合生命医科学研究センターへ発展し、新たな研究展開を推進します。 > 統合生命医科学研究センター
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免疫系構築研究チーム

  免疫系構築研究

体の内と外の境界は粘膜(図1の赤線部分)および皮膚(図1の黒線部分)によって形成されます。何層もの表皮細胞や角質によって堅牢な防壁を形成する皮膚と異なり、粘膜は通常一層の上皮細胞からなるため微生物の侵入に対して比較的弱く、実際ほとんどの病原微生物の侵入経路となっています。従って粘膜は、免疫系がこれら病原体の感染から身体を守る最前線と考えられます。

粘膜系の中でも特に腸管粘膜は、約400m2にも及ぶ表面積を持ち、抗体を作るB細胞やそれを助けるT細胞、腸に存在する特別な免疫器官であるパイエル板(図2)のリンパ球など、全身のリンパ球の60〜70%が集結する体内最大の免疫組織です。腸管粘膜は食物の摂取を通して常に膨大な量の蛋白質や病原微生物に曝されており、さらに腸内には多数の非病原性細菌群(腸内フローラ)が共生しています。

私たちのからだは食物の成分や常在細菌叢には反応せず、病原体には反応してこれを排除するように出来ており、それを調節しているのが粘膜免疫系です。例えば、本来反応しないはずの卵の成分に対する過剰な免疫反応が、卵に対する食物アレルギーです。粘膜免疫系はこのようなことがないよう厳密に制御されていますが、その仕組みはまだよくわかっていません。

私たちはパイエル板などを覆う上皮に見られる特殊に発達したM細胞の構造と機能を研究しています。M細胞は食餌性抗原や微生物を積極的に取り込み、パイエル板などの免疫細胞に受け渡すと考えられています。このような研究から得られる知識は、効果的なワクチンや新たな薬物の投与法の開発、さらには自己免疫疾患やアレルギーの治療への応用が期待されます。

体内外を隔てる皮膚と粘膜

図1. 体内外を隔てる皮膚と粘膜

 特殊な上皮細胞:M細胞

図2. 特殊な上皮細胞:M細胞

パイエル板などのリンパ濾胞を覆う腸管上皮は通常の絨毛上皮とはやや性質が異なります。特に M細胞と呼ばれる微絨毛の発達していない細胞は、細胞質が大きく陥凹し、そこにT細胞やB細胞を抱え込んでいます。そして、腸管内の微生物などを盛んに取り込んでリンパ球に受け渡すことにより、免疫応答の調節に重要な役割を果たすと考えられていますが、その実体については余り研究が進んでいません。私たちはM細胞の構造や機能の解明を通して免疫応答の調節機構を明らかにしたいと考え、研究を進めています。

所在地:横浜研究所 北研究棟3階