[2013年4月改組]
2013年4月、統合生命医科学研究センターへ発展し、新たな研究展開を推進します。 > 統合生命医科学研究センター
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Laboratories

免疫発生研究チーム

河本 宏

チームリーダー河本 宏

  免疫発生研究

私達の研究室はT細胞がどこでどのようにつくられるかということを主に研究しています.T,B細胞を含む全ての血球系細胞は,1種類の多能造血幹細胞からつくられます.その過程で,分化能が段階的に限定されてゆき,ついには単能性の前駆細胞になります.このように分化能が限定されていくひとつひとつのステップを系列決定といいます.血液細胞における系列決定の過程は重要な研究主題であるにもかかわらず,ほとんど明らかにされてきませんでした.私達は,個々の前駆細胞の分化能を測定する方法を独自に開発し,それを用いて多能前駆細胞から分化能が限定されていく過程を明らかにしてきました.例をあげると, T細胞系列とB細胞系列へ分岐した後もなおミエロイド系への分化能を維持していること,胸腺へ移行する前にT細胞系列へ決定されること,初期のT前駆細胞はNK細胞や樹状細胞への分化能をもつことなどです(図1)

マウス胎仔造血における系列決定の過程と胸腺への前駆細胞の移住

図1.マウス胎仔造血における系列決定の過程と胸腺への前駆細胞の移住

私達のグループが目標としていることは,こうして明らかになったそれぞれの分岐点において,運命を振り分ける機構を解析することです.具体的には,造血幹細胞からT,B,ミエロイド,エリスロイド系列など各系列の前駆細胞が生成する過程,胸腺移行前段階におけるT細胞分化過程,胸腺へ移行してからTCR鎖遺伝子再構成が始まるまでの分化過程などを研究対象にしています.単にどの分子がどの段階で作用しているということだけでなく,特定の方向へ誘導的に働いているのか,それとも選択的に生存を維持しているのかという,作用の原理に迫りたいと思っています。

また,造血系あるいは免疫系を対象とした再生医療・遺伝子治療への応用を視野にいれた研究も行っています.体外で前駆細胞から新しくT細胞を分化誘導することにより,新規のT細胞レパートリーを作出することが可能になりつつあります.このような新生T細胞を用いた細胞療法は,癌や免疫疾患の治療において大きな可能性を秘めていると考えています。

所在地:横浜研究所 北研究棟6階